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片頭痛と働き方改革①働き方改革
働き方改革とは、2019年4月1日から順次施行されている「働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」に基づいて政府主導で行われている改革です。
新型コロナウイスの世界的流行への対策と喧騒が落ち着いてきたことや、企業はしっかりと対策を取らなければ罰則の対象になることもあり、これまで以上に本腰を入れて取り組む課題となっています。
厚生労働省のホームページでは、「「働き方改革」は働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革」と説明されています。
労働環境の改善(年次有給休暇の時季指定、時間外労働の上限制限、同一労働同一賃金、女性活躍推進など)や柔軟な働き方の導入(テレワークやフレックスタイム制度の積極的導入など)を通じて生産性向上・経済活性化を目的としています。
テクノロジーも活用した労働環境の明るい将来像をイメージさせる文言が並びますが、つまりは最終局面に入った少子高齢化による「労働力不足」の解消が主目的の一つだろうという識者の意見もあります。
働き方改革関連法の施行によって、日本人の働き方が以下のように9つの点で大きく変化している途中です。
- ・時間外労働の上限規制の厳格化
- ・客観的な労働時間把握の義務化
- ・残業が月60時間を超えた場合の賃金割増率引き上げ
- ・年5日の有給休暇の取得促進
- ・正規・非正規雇用労働者間の待遇格差是正
- ・「勤務間インターバル制度」導入の努力義務化
- ・フレックスタイム制の見直し
- ・高度プロフェッショナル制度の導入
- 産業医機能の強化
働き方改革では女性が柔軟な立場で就業できる環境を重視していることは皆が知るところです。
女性も活躍する社会を目指すなかで、大事なデータの一つが図①です。
図① 疾患カテゴリーおよび年齢別にみる健康障害の状況 A;女性 B;男性
このデータは障害と共に生活をしている状況を疾病カテゴリー別に観察した国内外で実施した大規模多施設共同研究の結果です。
最も多い疾患カテゴリーは神経疾患(276 million [ 95% UI 247-308 ])であり、そして神経疾患の中で片頭痛が働き盛りの女性で非常に多いことがわかります(Lancet Neurol 2019;18:459-480)。
さらには、京都頭痛宣言からは2005年10月には既に頭痛による生産性の低下により、毎年2880億円の経済的損失を日本経済にもたらしている事が述べられています(図②)。
図② 片頭痛による経済的損失(2005年京都頭痛宣言)
こうしてみてみると、片頭痛と働き方改革は密接な関係にあると言えます。
次回は「片頭痛は女性に多い」について記事を書きます。 |