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パーキンソン病の嚥下障害について
こんにちは。院長の宮城です。 今回は、【パーキンソン病の嚥下障害について】についてのお話です。 |
パーキンソン病は、中枢神経系の病気であり、主に運動障害を引き起こす神経変性疾患です。
嚥下障害は、この病気の一つの重要な症状であり、飲み込むことが難しくなる問題を指します。
この嚥下障害が進行すると、食事や飲み物を摂取することが困難になるため、日常生活に大きな影響を及ぼします。
パーキンソン病における嚥下障害は、病気の進行に伴って悪化することがあります。
初期段階では軽度で、特に気にならないかもしれませんが、障害の強さや進行の速さは個人差があります。
数十年の長期にわたり飲食を楽しめるパーキンソン病患者様も居れば、
発症から5年程で誤嚥が問題となり、飲食がままならない状態となるパーキンソン病患者様も居られます。
嚥下障害の症状としては、以下のような特徴が挙げられます。
- ・喉の詰まる感じや異物感
- ・食事中に咳やむせることが多い
- ・飲み込むのに時間がかかる
- ・複数回嚥下を繰り返さなければ飲み込めない
- ・噛む力が弱くなる
- ・食事後に胸や肺に食べ物や飲み物が入ることがある(誤嚥)
パーキンソン病の嚥下障害の害の特徴を説明します。
通常は、食べ物を口に入れて食塊は舌により後方に送り込まれますが、舌の筋肉(舌筋)に筋緊張(固縮)が強ければ奥舌の舌背が高いままなので、食塊を咽頭へ送り込めず前方に戻って来てしまいます。
また、筋緊張の程度によっては、舌で食塊を持ち上げた状態のまま動作停止する場合もあります。
その結果、食塊が後方に送り込まれるまで舌の前後運動を繰り返すのが特徴的です。
進行期パーキンソン病患者様の食事時間が長くなりがちなことに心当たりがある方も居られるでしょう。
そして、舌、咽頭部、口唇、口腔内に食塊の残留がみられる場合があります。
嚥下時に使う筋肉の機能も低下するため嚥下後にも食塊が喉頭蓋谷や梨状陥凹に残留してしまう場合もみられるのです。
パーキンソン病の嚥下障害に注意することは非常に重要です。
患者や家族、介護者は、以下の点に気をつける必要があります。
■医師の指示に従う:
パーキンソン病の治療は専門の医師によって行われます。患者は定期的に医師の診察を受け、処方された薬や治療法を遵守することが重要です。ドーパミン補充療法などの薬剤調整が奏功する例が少なくなく、これは他の慢性疾患による嚥下障害との違いと言えます。
■食事の工夫:
食事を摂る際に、嚥下がスムーズになるように工夫が必要です。食べ物を十分に噛むことや、飲み物を小口でゆっくり飲むことが役立ちます。
水分などの液状嚥下物はトロミを付けることで安定した嚥下となることが多いです。
■環境の整備:
食事を摂る場所や周囲の環境を整えることも大切です。静かな場所で食事をすることで集中しやすくなりますし、姿勢や座る高さを調節することで飲み込みやすくなることがあります。
■食事の内容:
特定の食べ物や飲み物が嚥下に悪影響を及ぼす場合があります。硬い食べ物や粉状の物や粘稠性の高い飲み物は避けることが望ましいかもしれません。
また、認知機能が低下していれば味覚が影響する事があります。
■緊急時の対応:
誤嚥を起こしたり(最重度は窒息)、食事中に突然の咳やむせなどがあった場合は、周囲の人が適切な応急処置を知っていることが重要です。必要ならば速やかに救急車を呼びましょう。
嚥下障害に対する対策は、個々の症状や状況に応じて異なりますが、以下は一般的な対策の一部です。
■リハビリテーション:
専門のリハビリテーション(言語聴覚士や作業療法士など)を受けることで、嚥下の改善が期待できる場合があります。
■食事の改善:
食事の内容や調理方法を見直し、食べやすい形に変えることで嚥下しやすくなることがあります。
■飲み込みのトレーニング:
リハビリテーションで教わった飲み込みのトレーニングを日常的に行うことで、嚥下筋を強化することができます。
■誤嚥予防:
誤嚥を防ぐために、患者が起きている時間はなるべく直立姿勢を保ち、食事時以外は横になることを避けると良いでしょう。
■サポート:
患者や家族は、サポートグループや専門家の助言を受けることで、より良いケアを行える場合があります。
定期的な医師の診察と専門家のサポートを受けながら、最適なケアを行うことが大切です。
パーキンソン病のことなら、小禄セントラルクリニックまでいつでもお気軽にご相談ください。