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パーキンソン病の画像診断|パーキンソン病③
パーキンソン病の診断において、画像検査は重要なツールとなります。
専門医の立場から、具体的な内容を含めてその重要性をなるべく簡便にご説明します。
大前提として、パーキンソン病の診断は神経内科専門医による問診・病歴聴取と神経内科専門医が評価した神経診察所見に基づいて行われます。
しかし、症状だけでは他の疾患との鑑別が難しい場合もあります。そのため、脳の構造や機能に変化があるかどうかを評価するための手段の一部として画像検査を行う場合があります。
磁気共鳴画像法(MRI)
画像検査手法として、脳の構造や異常を評価するための磁気共鳴画像法(MRI)があります。
MRIは強力な磁場と特定の周波数の電磁波を使用して高解像度の画像を生成します。これにより、脳の領域や構造に変化があるかどうかを評価することができます。
パーキンソン病のMRI画像では、パーキンソン病症状を呈する類似疾患に見られる器質病変および変化を認めない事が重要であり、診断基準でもあります。
単一光子放射断層撮影法(SPECT)、MIBG心筋シンチグラフィー
核医学検査として単一光子放射断層撮影法(SPECT)も優れた画像検査であり、必要に応じ診断を目的に使用します。
脳内の特定の受容体や輸送体の状態を可視化するために、薬剤(放射性同位体・核種)を使用し、特にCT検査やMRI検査では捉えられなかったドパミン作動性神経や心臓交感神経の変性・脱落の程度を評価する事が可能です。
DaT SPECTではドパミン輸送体の減少が運動症状の左右差と合致するように確認されることで、そして、MIBG心筋シンチグラフィーでは早期像と後期像におけるH/M ratioの低下が確認されることで、パーキンソン病の病態にかかわる各神経の変性と脱落からの機能低下が確認されます。
CT検査やMRI検査では捉え難い特異的な機能障害を捕捉できるということです。
引用:SumitomoPharm 健康情報サイト
これらの画像検査は、パーキンソン病の診断において補完的な情報を提供し、他の疾患との鑑別に役立ちます。
なぜなら、パーキンソン病の症状は他の神経変性疾患や一過性の症状とも重なることがあるからです。
そのため、誤診のリスクも存在します。
パーキンソン病の診断は症状のみに依存せず、総合的な評価が必要です。
画像検査によって疾患に矛盾しない画像所見が客観的に確認されれば、パーキンソン病の診断を客観的に支持する確証の一部ととなります。
総合的な判断からパーキンソン病を診断するプロセスでは画像所見も有用ですが、やはり神経内科専門医による正確な問診と神経診察が重要です。
誤診の具体的な一例に、『薬剤性パーキンソン症候群』があります。
これは、一部の薬物(特に抗精神病薬)の副作用で、パーキンソン病のような症状が現れるものです。
画像検査では一般に黒質の異常は認められませんが、症状がパーキンソン病に類似しているため、誤った診断が下される可能性があります。
そのため、画像検査の結果だけでなく、患者の病歴や神経学的評価といった臨床的な情報を総合的に考慮することが重要です。
診断においては、画像検査結果は参考となる情報であり、専門医の経験と判断によって適切な診断が行われます。
このように、パーキンソン病の診断における画像検査は、病変の確認や他の疾患との鑑別に重要な役割を果たすものの、画像検査結果だけで確定的な診断を下すことはできません。正確な診断を導くためには、経験豊富な神経内科専門医による総合的な判断が欠かせないのです。
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小禄セントラルクリニックの神経内科医はパーキンソン病の臨床経験が十分であることは勿論のこと、その他の神経疾患全般についても十分な経験があるため、過剰な偏りがない適切な診断が可能です。
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