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筋電計を用いた検査について|しびれ診療④
こんにちは!院長の宮城です。
今回は『筋電計』を用いた検査ついてのお話です。
「しびれ」の診療では以下の①~④が大切です。
- 神経を含む内科全般の診療経験が大切であること
- 末梢神経障害・ニューロパチーによる「しびれ」の原因は多様で未診断の患者様が多いこと
- どのような時に末梢神経障害を疑うのか、受診するべきなのか
- 「しびれ」や筋力低下を来す診療において、末梢神経障害・ニューロパチーの診療には、筋電計を用いた検査(特に末梢神経伝導速度検査、針筋電図検査)が重要であること
④の筋電計を用いた検査については、非医療者はもちろんのこと、他の専門領域の医師にとっても理解が難しい検査です。
小禄セントラルクリニックでは専門的に行っております。
皆様に知って頂きたく、筋電計を用いた検査についてお伝えします。
検査方法としては、おおきく分けて2つの方法があります。
【1】「針筋電図検査」
筋肉に細い電極針を刺した状態で、力を抜いた状態、弱い収縮、強い収縮を意識的にしてもらい筋肉より生じる電気的活動を記録します。
電極針を刺すので痛みをともないます。
【2】「神経伝導速度検査」
手足の神経、顔面の神経へ、皮膚の上から電気的刺激することにより、末梢神経を伝わる電気的活動の速度を測定します。
電気的刺激時に、やや痛みをともないます。
検査に要する時間は20分から30分ぐらいです。
電極針の太さは採血の針より細いもので、当日の入浴にも影響はありません。
電気刺激による検査後の痺れ、痛みはありません。
今回の記事では④について、特に『末梢神経伝導検査』をなるべく平易に記載します。
通常診療の現場で、筋肉や神経に異常がないかを定量的に調べられる優れた検査です。
筋肉が収縮する時や、神経を電気で刺激した時の筋肉や神経への信号の伝わり方を記録します。
筋肉を意識的に収縮してもらったり、神経に電気的刺激をしたりすることにより、神経や筋肉に生じる電気的活動と伝導・伝播を記録します。
この記録を評価することにより、神経や筋肉に疾患があるか、どこにどの程度あるのかを調べます。
神経伝導速度検査(NCS)は、末梢神経を皮膚上で電気刺激し、誘発された電位を記録し、刺激部位毎の伝導速度、振幅、持続時間、波形、時系列変化などを測定することにより末梢神経疾患、脊髄疾患の診断、病態の把握に活用するものです。
以下の3つに大別されます。
「運動神経刺激によって筋肉で誘発される波形を検査する運動神経伝導検査(MCS)」
「感覚神経自体の電位の波形を検査する感覚神経伝導検査(SCS)」
「電気刺激が脊髄まで逆行性に伝導し脊髄前角細胞での再発火から順行性に伝導し戻ってきて生じる波形を観測するF波検査(F wave study)」
刺激をすることで神経や筋肉の反応が得られ、得られた反応を用いて伝わる速さと様式を測定し波形の分析を行います。
正常の場合にはある程度の決まった速さで電気活動が神経を伝播し典型的な正常な波形が記録されます。
障害があれば、電気活動の伝播遅延や波形の変化などが記録されます。
また、この検査で異常が確認されたときには、障害の部位や障害の程度、障害の範囲を判断することができる場合が多くあります。
また、複数の神経や筋を併せて調べて照合し診断根拠としたり、経時的変化を把握することで確定診断に至る手法もあります。
神経内科が行う問診・診察と組み合わせることで診断する病名の一部は以下です。
神経疾患の例:
糖尿病性神経障害、筋萎縮性側策硬化症、慢性炎症性多発根神経炎、手根管症候群、ギラン・バレー症候群など
筋疾患の例:
重症筋無力症、多発性筋炎、進行性筋ジストロフィ、筋緊張性ジストロフィー
【脱髄性ニューロパチー】と【軸索ニューロパチー】という分類でより詳しく病名を上げるならば、以下の添付の表となります。
画像引用 医学書院 [第1回]末梢神経障害の種類
深入りすると難しい話しとなるため簡易記載に留めました。
小禄セントラルクリニックでは筋電計を活用した診療を展開しています。
診断がついていない「しびれ」や「筋力低下」でお悩みの患者様、受診をお待ちしております。
筋電図を用いた検査実施を依頼したい医療機関様、ご紹介をお待ちしております。