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パーキンソン病の病態解明の歴史|パーキンソン病②
パーキンソン病の病態解明の歴史は、19世紀初頭に遡ります。
1817年、イギリスの医師であるJames Parkinsonが初めてパーキンソン病を詳細に記述し、その症状や特徴を報告しました。
彼の論文は『An Essay on the Shaking Palsy』として出版され、パーキンソン病の基礎的な理解に大きく貢献をしました。
その後、20世紀に入り、神経学や神経病理学の発展により、パーキンソン病の病態解明が進んでいきました。
特にレヴィー小体(Lewy bodies)という異常なタンパク質の蓄積がパーキンソン病の特徴として明らかになりました。
Frederick Henry Lewyによる発見を経てKonstantin Tretiakoffによって、1919年に初めて報告されました。
The 200 years of Parkinson disease research(1817-1988)
引用:Przedborski S:The two-century journey of Parkinson disease research. Nat Rev, 18:251-9, 2018
20世紀後半から21世紀にかけて、分子生物学や遺伝学の進展により、パーキンソン病の病因や病態メカニズムの理解が深まりました。
1997年には、パーキンソン病の遺伝的要因の一つとして、α-シヌクレイン(alpha-synuclein)というタンパク質の遺伝子変異が関与していることが発見されました。α-シヌクレインはレヴィー小体の主要な構成成分であり、パーキンソン病の発症と関連していることが示唆されました。
さらに、パーキンソン病の神経回路や神経伝達物質の異常も明らかになってきました。
ドパミンという神経伝達物質の減少がパーキンソン病の各種症状と関連しており、脳の特定の領域でドパミン産生細胞が変性していることが分かっています。
また、最近の研究では、炎症やミトコンドリアの機能障害、酸化ストレスなど、パーキンソン病の病態メカニズムに関与する複数の要素が明らかにされています。
これらの研究により、パーキンソン病の病態解明において、遺伝学、神経病理学、分子生物学、神経伝達物質、環境要因など、多岐にわたる要素が関与していることが現在では示唆されています。
パーキンソン病の病態解明については、現在もさまざまな研究が行われており、新たな発見や理解が進んでいます。将来的にはより効果的な治療法や予防法の開発が期待されています。
まだ完全な解明には至っていないため、今後もさらなる研究と不断の努力が必要な分野です。